SNSなどのツールが浸透し、気軽に情報を投稿できるようになった昨今。企業は消費者が投稿した意見を、製品やサービスのマーケティング活動やプロモーション活動に生かしていく必要があります。従来は企業の担当者が人力で情報を収集・分析していましたが、すべての情報を拾い切れるわけではありません。
そうした中、AIを活用してTwitterやInstagram、FacebookといったSNSで発信された情報を収集・分析し、ラベル付けするサービスを提供しているのがリーン・ニシカタです。同社が提供するソーシャルリスニングサービスについて、代表の西方智晃氏に話を聞きました。
「主観」ではなく「客観」で情報を分析できるようにする
──なぜ、ソーシャルリスニングサービスを提供することにしたのでしょうか?
西方:これまでにも商品をリリースした後の消費者の感想や反応を分析するようなサービスはありました。ただ、近年は製品のコモディティ化も進み、競合となるプレーヤーも増えてきています。そうした時代において、何のマーケティング戦略もなしに、ただ製品をリリースしても認知してもらえないので、誰からも選んでもらえません。
私たちはゲームの分析をすることが多いのですが、特にゲームはタイトル数も増えているので、リリース前から緻密なマーケティング戦略を立てる必要があります。
具体的にはリリース前までにユーザーコミュニティをつくり、そこで開発の進捗状況や開発情報を共有し、熱量を高めていくことが大切です。
リリース後の場合はゲーム内のデータや行動ログのデータベースを使うことで定量的に分析することが可能でしたが、リリース前にはそういったデータはありません。そのため、SNSやDiscordのコミュニティ内でのユーザーのやり取りなどを分析し、活性化具合を指標として見て、開発に活かしていく必要があります。
そうした背景から、TwitterやInstagram、FacebookといったSNSで発信された情報を収集・分析し、ビジネスに生かすソーシャルリスニングサービスを提供することにしました。
──既存サービスとの違いはなんでしょうか?
西方:弊社のサービスの強みは、AIを活用している点にあります。
これまでも任意の商品やサービス・コンテンツについてのSNS上のテキストコメントを収集するサービスはありました。ただし、あくまで目視によって「どんな話題が中心になっているか」といった情報を確認しなければいけないため、どうしても主観が入ってしまう。結果的に情報に偏りがある状態で判断しなければいけなかったんです。
そうした中、私たちのサービスはAIを活用し、機械的に「いま、どんなものが話題にあがっているのか」「反応はポジティブなのか、ネガティブなのか」を判別してラベリングしていきます。ラベリングすることで、コメントの内容をカテゴリー分けし、具体的な意見の傾向などを瞬時に把握することが可能です。その結果、マーケティング担当者は従来のように主観をもとにした意思決定ではなく、客観的情報をもとに意思決定ができるようになります。
主観が入ってしまうと、どうしても担当者ごとに意見の相違が出てしまい、一貫した方向性でマーケティング施策やプロモーション施策を進めるのが難しくなってしまいます。しかし、AIが客観的な情報を定量的に可視化することで、全員が同じ方向を向き、中長期で一貫したマーケティング施策やプロモーション施策を実施できるようになるはずです。
今後は精度を向上させ、お客様に伴走して分析を支援
──具体的にどのようなユースケースがあるのでしょうか?
西方:主なユースケースとしては、アニメの話題分析やゲームの新作タイトルのリリース、お菓子の新商品、イベントの反響、動画配信のコメント分析、炎上検知などを想定しています。例として、アニメの話題分析について少し詳細に説明します。
これまで、アニメの作品としての良し悪しは何を持って判断するか曖昧でした。SNSアカウントのフォロワー数が多いのか、作品に対するSNSでの投稿数が多いのか。その量を分析することはできていましたが、その中身までは見れていませんでした。
結果的に担当者が主観でアタリかハズレかを判断するしかなく、再現度高くヒットを生み出し続けていくことができていなかったんです。
しかし、AIによって“意味のある発言”をしているユーザーを絞り込み、その人たちの投稿の継続率を見ていくことで、最後まで視聴された割合はどれくらいかがわかります。それを作品の良し悪しの指標にすることができるのではないかと考えています。
ひとつの作品に対して定量的なデータを集めて分析することで、ヒット作を再現度高く生み出せるようになりますし、逆に上手くいかなかったものは原因を分析して改善につなげることが可能です。ゲーム業界ではそうしたプロセスは一般的ですが、アニメ業界はまだまだ属人的な部分が多く残っています。そこに弊社が提供するサービスを取り入れることで、客観的なデータをもとにした作品の分析ができるようになります。
例えば、作品自体に原作があるものは内容を変更できませんが、どういった部分を訴求するのか、どのようなターゲット層に対してメッセージを伝えるのか。訴求内容をターゲットごとに変えていくこともできるようになるでしょう。
──今後のロードマップを教えてください。
西方:まずは分析精度の向上に努めていきます。
また、時系列で分かりやすく、どんな話題がどれくらいあったのかを見れるようにしたり、どんなカテゴリーでポジティブな声、ネガティブな声があったのかを見れるようにしたり、プリセット的な分析レポートを提供します。その後、さらに情報を深掘りしたいニーズも生まれてくると思うので、今まで分析で培ってきた知見をもとに、お客様ごとのニーズにあった深い分析のメニューも用意していきたいと思います。
それにより、新しい指標の発見などもできるようになると思うので、お客様に伴走しつつ数字を見ながら一緒にマーケティング施策やプロモーション施策を考えていきたいです。