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インタビュー
AI活用でユーザーの「主観」を「客観的」に分析──リーン・ニシカタが提供する従来にはないソーシャルリスニングサービス
SNSなどのツールが浸透し、気軽に情報を投稿できるようになった昨今。企業は消費者が投稿した意見を、製品やサービスのマーケティング活動やプロモーション活動に生かしていく必要があります。従来は企業の担当者が人力で情報を収集・分析していましたが、すべての情報を拾い切れるわけではありません。 そうした中、AIを活用してTwitterやInstagram、FacebookといったSNSで発信された情報を収集・分析し、ラベル付けするサービスを提供しているのがリーン・ニシカタです。同社が提供するソーシャルリスニングサービスについて、代表の西方智晃氏に話を聞きました。 「主観」ではなく「客観」で情報を分析できるようにする ──なぜ、ソーシャルリスニングサービスを提供することにしたのでしょうか? 西方:これまでにも商品をリリースした後の消費者の感想や反応を分析するようなサービスはありました。ただ、近年は製品のコモディティ化も進み、競合となるプレーヤーも増えてきています。そうした時代において、何のマーケティング戦略もなしに、ただ製品をリリースしても認知してもらえないので、誰からも選んでもらえません。 私たちはゲームの分析をすることが多いのですが、特にゲームはタイトル数も増えているので、リリース前から緻密なマーケティング戦略を立てる必要があります。 具体的にはリリース前までにユーザーコミュニティをつくり、そこで開発の進捗状況や開発情報を共有し、熱量を高めていくことが大切です。 リリース後の場合はゲーム内のデータや行動ログのデータベースを使うことで定量的に分析することが可能でしたが、リリース前にはそういったデータはありません。そのため、SNSやDiscordのコミュニティ内でのユーザーのやり取りなどを分析し、活性化具合を指標として見て、開発に活かしていく必要があります。 そうした背景から、TwitterやInstagram、FacebookといったSNSで発信された情報を収集・分析し、ビジネスに生かすソーシャルリスニングサービスを提供することにしました。 ──既存サービスとの違いはなんでしょうか? 西方:弊社のサービスの強みは、AIを活用している点にあります。 これまでも任意の商品やサービス・コンテンツについてのSNS上のテキストコメントを収集するサービスはありました。ただし、あくまで目視によって「どんな話題が中心になっているか」といった情報を確認しなければいけないため、どうしても主観が入ってしまう。結果的に情報に偏りがある状態で判断しなければいけなかったんです。 そうした中、私たちのサービスはAIを活用し、機械的に「いま、どんなものが話題にあがっているのか」「反応はポジティブなのか、ネガティブなのか」を判別してラベリングしていきます。ラベリングすることで、コメントの内容をカテゴリー分けし、具体的な意見の傾向などを瞬時に把握することが可能です。その結果、マーケティング担当者は従来のように主観をもとにした意思決定ではなく、客観的情報をもとに意思決定ができるようになります。 主観が入ってしまうと、どうしても担当者ごとに意見の相違が出てしまい、一貫した方向性でマーケティング施策やプロモーション施策を進めるのが難しくなってしまいます。しかし、AIが客観的な情報を定量的に可視化することで、全員が同じ方向を向き、中長期で一貫したマーケティング施策やプロモーション施策を実施できるようになるはずです。 今後は精度を向上させ、お客様に伴走して分析を支援 ──具体的にどのようなユースケースがあるのでしょうか? 西方:主なユースケースとしては、アニメの話題分析やゲームの新作タイトルのリリース、お菓子の新商品、イベントの反響、動画配信のコメント分析、炎上検知などを想定しています。例として、アニメの話題分析について少し詳細に説明します。 これまで、アニメの作品としての良し悪しは何を持って判断するか曖昧でした。SNSアカウントのフォロワー数が多いのか、作品に対するSNSでの投稿数が多いのか。その量を分析することはできていましたが、その中身までは見れていませんでした。 結果的に担当者が主観でアタリかハズレかを判断するしかなく、再現度高くヒットを生み出し続けていくことができていなかったんです。 しかし、AIによって“意味のある発言”をしているユーザーを絞り込み、その人たちの投稿の継続率を見ていくことで、最後まで視聴された割合はどれくらいかがわかります。それを作品の良し悪しの指標にすることができるのではないかと考えています。 ひとつの作品に対して定量的なデータを集めて分析することで、ヒット作を再現度高く生み出せるようになりますし、逆に上手くいかなかったものは原因を分析して改善につなげることが可能です。ゲーム業界ではそうしたプロセスは一般的ですが、アニメ業界はまだまだ属人的な部分が多く残っています。そこに弊社が提供するサービスを取り入れることで、客観的なデータをもとにした作品の分析ができるようになります。 例えば、作品自体に原作があるものは内容を変更できませんが、どういった部分を訴求するのか、どのようなターゲット層に対してメッセージを伝えるのか。訴求内容をターゲットごとに変えていくこともできるようになるでしょう。 ──今後のロードマップを教えてください。 西方:まずは分析精度の向上に努めていきます。 また、時系列で分かりやすく、どんな話題がどれくらいあったのかを見れるようにしたり、どんなカテゴリーでポジティブな声、ネガティブな声があったのかを見れるようにしたり、プリセット的な分析レポートを提供します。その後、さらに情報を深掘りしたいニーズも生まれてくると思うので、今まで分析で培ってきた知見をもとに、お客様ごとのニーズにあった深い分析のメニューも用意していきたいと思います。 それにより、新しい指標の発見などもできるようになると思うので、お客様に伴走しつつ数字を見ながら一緒にマーケティング施策やプロモーション施策を考えていきたいです。 -
インタビュー
【ゲーム】日本のゲーム会社の最新動向
日本のゲーム業界は2兆円を超える市場に成長したが、2020年をピークにここ数年は右肩下がりとなっている。 そこで今回は日本のゲーム市場、ゲーム会社の最近の動向について、経営コンサルタントの美田和成さんにインタビューしました。 ―:まず基本的なことを伺いたいのですが、お仕事について教えていただけますか? 美田氏:ゲーム会社やデータ分析会社の経営に関わる傍ら、A.T.カーニーというコンサルティング会社でメディア・エンタテインメント領域のコンサルタントもしており、ゲームを含めたエンタメ企業の成長戦略策定や組織作りのお手伝いをしております。 仕事柄、守秘義務がありますので、お話しできることは限られているのですが、本日はどうぞ宜しくお願いいたします。 ―:よろしくお願いします。まずは日本のゲーム業界の現状について教えていただけますでしょうか? 美田氏:よろしくお願いします。現状を知る上でもまずはここ10数年の業界の流れを振り返りつつお話できればと思います。 2010年くらいからモバイルゲーム(ソーシャルゲーム)市場が急速に盛り上がりましたが、それまで5000億円程度だった日本のゲーム市場がモバイルゲーム市場の誕生・成長で2兆円まで伸びました。2010年代のゲーム業界はモバイルゲームの時代だったとも言えると思います。ちなみに欧米はモバイルゲーム比率が3割程度ですがアジアは5割を超えており、日本に至っては7割を超えてますのでモバイル市場の拡大はかなりのインパクトがあったことになります。 ―:日本のゲーム市場規模の急拡大はモバイル市場の成長によるものなのですね。 美田氏:モバイルゲームをきっかけに生まれた会社は相当数あり、ピーク時では少なく見積もっても500社はあったと思います。その代表格がディー・エヌ・エーやGREE、Mixiに代表されるプラットフォーマーや、サイゲームスやアカツキなどです。 また、それまでコンソールゲーム中心の事業を行っていた大手ゲーム会社も、モバイルゲームの売上や利益率を目の当たりにしモバイルゲームに参入することになりますが、 モバイルとコンソールでは運用を中心として作り方が全然異なります。モバイルゲームに馴染むまでに時間のかかった会社もあれば比較的スムーズに参入できた会社もありまちまちでした。 ―:たくさんの会社が生まれ、勢いのあった時期ですね。 美田氏:そうですね。2016年くらいまではかなり勢いがありました。しかし徐々にタイトル数が増えたことでユーザーの時間の奪い合いが激化するとともに、スマホの機能向上に伴いゲームの品質も向上する必要があり開発費が高騰していきました。 2010年頃であれば数千万だった開発費が、2018年頃には10~20億円規模にまで膨らみました。さらに2018年前後で海外(主に中華・韓国系)の大型グローバル配信タイトルが入ってきて徐々に日本タイトルのシェアがどんどん奪われることになりますが、外資系タイトルの開発費が3桁億円という事実に国内のゲーム会社は驚くとともに戦意喪失していった時期だったかと思います。 ―:それほどまでにこの10~15年で開発費が膨らんでいったのですね。 美田氏:開発費が膨らむとともに、ヒット率も低下していきました。 成功に向けた初期的なハードルが月商1億円と言われますが、月商1億円を超えるタイトルの出現率が1%を切るなど、モバイル市場はハイリスク・ハイリターンに向かっていきましたね。またそのころになると、プロモーションコストも開発費と同額程度かける必要性もあったことから、既にユーザーを抱える既存IPを用いたタイトル開発に各社傾斜していく形になります。 新規IPは既存IPに比べヒット率が低く、プロモ―ションコストも多くかかるわけですので、合理的な判断ですよね。 現状、モバイルで新規IPに取り組む会社は、大手の一部と、モバイル系ですとサイゲームスさん、アカツキさんなどかなり限られてると思います。 2010年度に一気に誕生したモバイルゲーム会社ですが、このような背景もあり現状では一部の成功タイトルを持つ企業以外は撤退や倒産でかなり減ってしまっております。 ―:モバイルゲームは当初、オリジナルタイトルの方が多かったかと思いますが、そこからIPに成長したものはなかったのでしょうか? 美田氏:どこまでをIPと呼ぶかは難しいところですが、IP化の定義を、ゲーム発で長期に運用を継続し、かつアニメやグッズなどのマルチ展開でユーザーとの接点を拡大し、ユーザーを増やしている、とするのであれば、モバイルゲームからはほとんどIPは生まれていない、と思います。 ―:なぜIPは生まれなかったのでしょうか? 美田氏:IPとして成長するコンテンツ制作には、「斬新なコンセプト」や「キャラクター/ストーリー」、「高品質なクリエイティブ」、「継続的なマルチメディア展開」、など様々な要素が必要となりますが、特に初期のモバイルゲームはWEBサービスに近いコンテンツで、これらの要素を意識した開発になっていなかったことは一つとしてあるかと思います。 また、売上が下がると運用を終了してコンテンツとして終わり、というケースが多く、そもそも継続して取り組みIP化していくという意識はあまりなかったように思いますね。それよりも新しいもの出した方が売れるかもしれないのでどんどん出そうという空気感だったかと。 今誰もが知るIPは10年、20年、30年と続けてIPになっているわけで、初期開発で発展性のあるものを作ることに加え、継続することもIP化においては大事な要素ですよね。 ―:そう考えると新規IP創出は難しい取り組みですね。既存IPを活用したゲームへの取り組みはどのような状況でしょうか。 美田氏:ゲーム業界全体として、モバイルゲームに限らずコンソールも含め既存IPでヒットするゲームをしっかりとつくるというトレンドになってきております。 既存IPをコンソール、モバイル、PCの複数デバイスで展開するとともに、映像やグッズ、リアル接点(テーマパークや2.5次元など)を拡大し、既存IPの価値を最大化する動きですね。モバイルゲーム時代の経験や昨今のゲーム発IPの映像化の成功などの事例を踏まえ、継続的に利益を生み出すのは既存IPという気付きが業界全体的にあったように思います。 ―:既存IPのヒット率はいかがでしょうか。 美田氏:大手はやはりコンソールの開発力に安定感があり、コンソールは比較的安定的にヒットを出せているように思います。 一方でモバイルは先程のハイリスク・ハイリターンという性質が強くも、大手でもヒット率は決して高いとは言えないですね。もちろん当たれば大きいですが。 IPの特性やデバイス特性を鑑み、コンソール、モバイル、PC、どのデバイスで取り組むのかを検討していくという方向性かと思います。 新規IPの場合でもそうですが、収益的に安定性のある(大損しない)コンソールで出してみてその動向からモバイルゲームを出すか検討する、という方針の会社も多いですね。 ―:なるほど。大きな流れとして既存IPを活用した事業展開に向かっているということですね。 美田氏:ここは難しいところでして、とはいえ新規IPもトライしないと将来のIPは生まれないためバランスが重要ですよね。まずは既存IPの価値を最大化し、その収益で新規IPにも一定チャレンジする、ということかと思います。 ―:IPのマルチメディア展開という話がありました。ゲーム会社の場合、マルチ展開はあまり馴染みがない領域かと思いますがそのあたりの取り組み状況はいかがでしょうか? 美田氏:例えばカプコンさんは10年以上前からIPのマルチ展開を事業方針として謳っておりますし、バンダイナムコさんは昔からマルチ展開できる各機能を広く保有されていたりします。一つ言えることとしては個社毎に保有機能の幅は異なりますが、自社IPをゲーム以外の領域でも展開することを前提に事業戦略を考え始めているということかと思います。 また既存IPのゲーム化の方がビジネスとして安定しているため、多くのゲーム会社は自社IPのみならず他社IP(主に出版社系IP)を用いた開発に取り組むケースは増えてきております。 IPホルダーもこの辺りのIPのビジネス流れは強く意識されており、IPを預ける際に、ライセンシーの個々の機能(ゲーム、アニメ等)が強いことはもちろんですが、マルチ展開ができること、またそれを描けるIPプロデューサー人材がいる事もライセンシーを判断する基準となってきてます。 ―:なるほど。自社IPだけでなく他社IPを用いたゲーム化も活発になってきていると。 美田氏:はい。とくに有力IPを獲得する上での競争が激しくなっており、前述のゲーム開発のみならずマルチ展開可能な機能やIPプロデューサーの重要性は増してきております。 他社IPの獲得によるビジネスではゲーム会社にとっての新たな競合も現れてきております。アニプレックスさんや東宝さんなどは強いアニメスタジオのブッキング力を強みとして制作委員会の中でも発言力を増しており、ゲームも含めたIP獲得に成功しております。リリースしたゲームもヒットを収めるなど成功事例も増えてきております。 一方で、IPホルダーもライセンシー機能を持ち始めており、自社でゲーム事業(パブリッシング、開発)やアニメ制作機能を持つ会社も増えており、その意味でもIP獲得の難易度は上がってきております。 ―:IP獲得は新規のプレイヤーの参入含め競争が激化しているということですね。 美田氏:そうですね。そのような背景もありゲーム会社は並行してゲーム発の新規IPにも取り組まなければいけない、という課題もあるかと思います。 ―:このような事業の変化に伴い、各社の組織体制の変化はございますでしょうか? 美田氏:モバイル興隆期とその後で大きく変わったと思います。 モバイル興隆期はモバイルゲームの利益率の高さ、開発・運用方法の違いからモバイルゲーム事業を従来のコンソール事業から切り出すケースが多く、大半のゲーム会社はデバイス軸(モバイル、コンソール、PC毎に事業を立てる)の組織体制でした。 一方で現在はモバイル市場が落ち着き、またデバイス間で開発の垣根が無くなったことや、前述の既存IPのマルチ展開や他社IP獲得の観点でIP軸、もしくはIPプロデューサーがデバイス別の事業部をマネジメントする体制に代わってきております。 ―:なるほど。IP戦略を実行しやすい組織体制に代わってきているのですね。 […] -
マーケティング
カスタムAIツールが「ELDEN RING Shadow of the Erdtree」をレビュー
こんにちは、ゲームサーファーの皆さん! この記事は、将来的に多くのコンテンツの第一弾になる可能性があります。最後まで読んで、このサイトの未来にどう影響を与えられるかを確認してください! まず、弊社が達成しようとしていることについて少し背景を説明します。カスタムビルドのAIレビューアナライザーを使用して、「ELDEN RING Shadow of the Erdtree」のレビューをインポートしました。これらのレビューをデータベースにインポートした後、AIに質問をすることで、世界規模で人々がゲームについてどう思ったかを理解することができます。以下は弊社がリストアップした質問の一部ですが、読者の皆さんがさらに質問したいことがあれば、遠慮なく以下のメールアドレスまでご連絡ください:(taylor.m@mugen-creations.com)メールを送る時にAiツールに関してを件名に入れて頂くとより目立つと思います^^。 それでは、弊社が尋ねた質問とその答えを紹介します。 このツールは完璧ではないことに留意してください。返信は青色が完璧、赤色が少し間違っている(よくある幻覚問題によるもの)と色分けされていますが、ご覧のとおり、弊社が尋ねた質問に対する返信の大部分は正確しています。質問:How did the critics feel about the difficulty. 10 examples.批評家は難易度についてどう感じましたか。10の例。”シャドウの領域に隠された戦いは、これまでで最も奇抜で、グロテスクで、激しいボス戦の一部です。” – But Why Tho?”タイミングを正確に合わせて、何度も忍耐強く戦った結果、勝利を収めました。” – But Why Tho?”ボスは手加減しません。” – カロル・カンテーヌ”シャドウ・レルムの敵はより強力で、より高いスキルと装備を要求します。” – Checkpoint Gaming”最も標準的な剣でも、300時間プレイした後も、初めて使った時と同じくらい楽しむことができます。” – Gamer.nl”最初のボスでさえ、ベースゲームのほとんどのボスよりも難しく、そこからさらに難しくなります。” – GGRecon”最終ボスは、肉厚な挑戦から過度のフラストレーションにまで踏み込むほどに途方もなく強力です。” – GamesRadar+”ほとんどのボスは非常に多くのダメージを与え、非常に速く、大きく、魔法と物理攻撃を組み合わせたパターンであなたの命を苦しめます。” – IGN Benelux”ミディールよりも難しいドラゴンがいて、マレニアをゴドリックの兵士のように見せる最終ボスがいます。” – TheGamer What features were most appreciated in the […] -
インタビュー
【eスポーツ】日本のeスポーツ市場の現状課題と将来性
昨今、世界的にeスポーツの人気は高まっており市場も急成長する中、様々な業種の企業も参入を始めました。 そこで今回はeスポーツ市場の現状と今後の可能性について、経営コンサルタントの美田和成さんにインタビューしました ―:まず基本的なことを伺いたいのですが、お仕事について教えていただけますか? 美田氏:ゲーム会社やデータ分析会社の経営に関わる傍ら、A.T.カーニーというコンサルティング会社でメディア・エンタテインメント領域のコンサルタントもしており、ゲームを含めたエンタメ企業の市場調査や事業戦略策定、組織作りのお手伝いをしております。仕事柄、守秘義務がありますので、お話しできることは限られているのですが、本日はどうぞ宜しくお願いいたします。 ―:よろしくお願いします。まずは日本における昨今eスポーツ市場が日本でも盛り上がりを見せてきました。日本のeスポーツ市場の規模はどのくらいなのでしょうか。 美田:年々注目度が高まっているeスポーツ市場ですが、コロナ渦においてもオンラインでプレイ・配信ができる強みを活かして成長を遂げてきました。日本のeスポーツ市場は2025年までに210億円を超えるとも予測されています。 出典:日本eスポーツ白書2023 eスポーツ元年と呼ばれた2018年から日本では年々高い成長率を見せており2023年現在では推定162億円を突破しております。当初は130億円突破を想定されていたので、想定以上の成長を遂げていることがわかります。 ―:グローバル全体でのeスポーツ市場規模はどのくらいなのでしょうか。 美田氏:グローバルのeスポーツ市場を見ると2023年は17.2億米ドル、2023年には67.5億米ドルまで成長すると予測されており、年平均成長率は21.5%になります。日本と比べると規模ではかなりの差がありますね。 ―:どのような企業がeスポーツ市場に参入しているのでしょうか。 美田氏:すぐに思いつくようなゲーム領域の企業以外にも様々な企業が参入しています。ゲームを支える回線関連、デバイス、大会運営会社はもちろんのこと、飲料・食品会社もゲーマーを支える企業の1つとしてeスポーツ市場では主流になってきました。その他にもチームのブランド力を上げるアパレル会社など新たなビジネスチャンスを生み出す可能性を求めて多くの企業が積極的に参入しています。 ―:eスポーツ市場の客層はどの年代が多いのでしょうか。 美田氏:客層は約50%が35歳以下の男性と言われています。また、eスポーツに日常的に触れているユーザーのうち約74%が正規雇用者で約44%が高所得者になっています。そのため、スポーツやファストフード、自動車など若年男性をターゲットにした企業も多く参入しています。 ―:なるほど。日本のeスポーツ市場の収益構成はどのようになっているのでしょうか。 出典:日本eスポーツ白書2023 美田氏:eスポーツ市場で最も大きな収益を生んでいるのがスポンサー料ですね。そして近年では日本でもイベント運営に実力のある事業者が揃ってきており、イベント運営においても収益を生み出しています。これによりB to Bの事業領域の成長も今後期待されています。 ―:これらの収益はどのように生まれているのでしょうか。 出典:日本のeスポーツの発展に向けて~更なる市場成長、社会的意義の観点から~ 美田氏:eスポーツの資金の流れは「エコシステム領域」と「波及領域」の2つに分けられます。その中でエコシステム領域は「する」、「見る」、「支える」(スポーツ庁の分類)からなります。 具体的にお話しますと、1つ目の「する」はチーム・選手といったeスポーツ競技の主体が行う領域で、主にスポンサー・広告、チケット、グッズ、賞金、投げ銭収入が対象となります。 2つ目の「見る」ですが、これはオーディエンス、コアファン層にとっての領域。主にストリーマーやLANパーティ主催者の広告、参加費収入が対象となります。 最後の3つ目の「支える」は、「する」、「見る」を支えるオペレーターの領域で大会・イベントの主催者、パブリッシャー、大会施設/練習場、デバイス関連メーカーが行うスポンサー・広告、放映権、著作権許諾、施設利用料、機器販売収入などが対象となります。 ―:なるほど。それでは次に「波及領域」について教えていただけますでしょうか。 美田:波及領域とは主にイベントの集客力を活用したビジネスになります。今ではイベント会場での飲食物の販売やデバイスの販売などは主流になっていますよね。 ―:今挙げていただいた領域以外でもeスポーツビジネスの可能性はありますでしょうか。 美田:波及領域のさらに外側にある移転領域というものがあります。これはeスポーツを通じて蓄積された技術を移転したビジネスのことを指します。金融・保険事業へのeスポーツの活用や観光業への振興、引きこもり人材の活用などが行われています。 ―:なるほど。企業がeスポーツ市場に参入する意義・魅力はいろいろとあるのですね。 美田氏:そうですね。企業にとってeスポーツ市場に参入する魅力はいくつか挙げられれますが、以下のような要素に魅力に感じて参入する企業が多いように思います。 海外においては、eスポーツは従来のサッカーや野球といったスポーツと比べて遜色のない集客力を誇っています。大会やイベントには数万人以上のファンが足を運び、大きな大会の配信には同時視聴者数が数千万レベルに達することさえあります。 ―:なるほど。海外に比べ日本はeスポーツ後進国と言われますが、その大きな要因は何なのでしょうか。 美田氏:主な要因を上げるとすれば「根付いているゲーム文化の違い」と「日本の法規制」になるかと思います。 ―:根付いているゲーム文化の違いとはどのようなものになりますでしょうか? 美田氏:人気のあるゲームの「デバイス」と「ジャンル」の違いですね。 まず「デバイス」については、グローバルのeスポーツで主に扱われているゲームはPCゲームです。一方で、日本でこれまで人気を博してきたのはモバイルゲーム、及びプレイステーションやDS、Switchといったコンシューマーゲームで、特に日本はモバイルゲームの比率は非常に高いシェアを占めており、PCゲームが普及していない要因の1つとなっています。日本ではモバイルの普及とともに通勤等の隙間時間を活用してモバイルゲームが幅広い層に普及しましたが、日本のゲーム市場の約2兆円の内、約80% がモバイル市場です。これはすごい数字でアジアでも50%止まりで、欧米だとモバイルは30%程度です。 ―:確かにeスポーツ強豪国の韓国では、インターネット黎明期の25年以上前からネットカフェで格安にPCでゲームに触れる環境が豊富にありゲーム環境を含めた文化の違いは大きいかもしれません。 「ジャンル」の違いというのはどのような違いになりますでしょうか? 美田氏:ゲームのジャンルの違いですね。eスポーツで最もプレイヤー人口が多いといわれているのがLeague of LegendsというMOBA系のゲームです。eスポーツで最も賞金総額が高いといわれているDota 2もMOBA系のゲームですね。しかし、これらのゲームは日本ではまだ知名度が低く、人気もそれほど高くありません。時折人気ストリーマーの方が配信を行っているのを目にしますが、他のゲームを配信している時よりも視聴者数が少ないです。 ―:そうだったのですね。eスポーツといえばFPSというイメージも強いのですが、日本でFPS人気はどうなのでしょうか。 美田氏:FPSはMOBAに次いで世界でも人気の高いeスポーツジャンルですね。日本ではMOBA人気が低い代わりに、FPS人気が高い傾向にありApex、Valorantのリリースに伴って伸びております。2023年には日本のコミュニティの素晴らしさが世界的にも評価されValorantの世界大会が日本で開催されていました。世界大会でも好成績を日本チームが残す姿も見られるようになってきたので、日本ではMOBAよりもFPSを中心に市場が伸びていく可能性があると考えています。 ―: ありがとうございます。では日本の法規制はどのような影響を与えていたのでしょうか。 美田氏:日本には「賭博規制法」と「景品表示法」という法律が存在します。これにより日本での大会では海外の大会のような高額な賞金設定ができないようになっていました。海外ではゲームユーザーからの売り上げを賞金に充てるといったことも行われてきましたが、日本では法に触れる可能性があるためできなかったわけですね。 賞金が低いと強いプロ選手の育成が難しくなります。賞金の低さによりプロゲーマーがゲーム一筋で生計を立てることが難しく、ゲームの技術を十分に磨く環境が整えることができないということが起こるわけですね。 […]
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AI活用でユーザーの「主観」を「客観的」に分析──リーン・ニシカタが提供する従来にはないソーシャルリスニングサービス
SNSなどのツールが浸透し、気軽に情報を投稿できるようになった昨今。企業は消費者が投稿した意見を、製品やサービスのマーケティング活動やプロモーション活動に生かしていく必要があります。従来は企業の担当者が人力で情報を収集・分析していましたが、すべての情報を拾い切れるわけではありません。 そうした中、AIを活用してTwitterやInstagram、FacebookといったSNSで発信された情報を収集・分析し、ラベル付けするサービスを提供しているのがリーン・ニシカタです。同社が提供するソーシャルリスニングサービスについて、代表の西方智晃氏に話を聞きました。 「主観」ではなく「客観」で情報を分析できるようにする ──なぜ、ソーシャルリスニングサービスを提供することにしたのでしょうか? 西方:これまでにも商品をリリースした後の消費者の感想や反応を分析するようなサービスはありました。ただ、近年は製品のコモディティ化も進み、競合となるプレーヤーも増えてきています。そうした時代において、何のマーケティング戦略もなしに、ただ製品をリリースしても認知してもらえないので、誰からも選んでもらえません。 私たちはゲームの分析をすることが多いのですが、特にゲームはタイトル数も増えているので、リリース前から緻密なマーケティング戦略を立てる必要があります。 具体的にはリリース前までにユーザーコミュニティをつくり、そこで開発の進捗状況や開発情報を共有し、熱量を高めていくことが大切です。 リリース後の場合はゲーム内のデータや行動ログのデータベースを使うことで定量的に分析することが可能でしたが、リリース前にはそういったデータはありません。そのため、SNSやDiscordのコミュニティ内でのユーザーのやり取りなどを分析し、活性化具合を指標として見て、開発に活かしていく必要があります。 そうした背景から、TwitterやInstagram、FacebookといったSNSで発信された情報を収集・分析し、ビジネスに生かすソーシャルリスニングサービスを提供することにしました。 ──既存サービスとの違いはなんでしょうか? 西方:弊社のサービスの強みは、AIを活用している点にあります。 これまでも任意の商品やサービス・コンテンツについてのSNS上のテキストコメントを収集するサービスはありました。ただし、あくまで目視によって「どんな話題が中心になっているか」といった情報を確認しなければいけないため、どうしても主観が入ってしまう。結果的に情報に偏りがある状態で判断しなければいけなかったんです。 そうした中、私たちのサービスはAIを活用し、機械的に「いま、どんなものが話題にあがっているのか」「反応はポジティブなのか、ネガティブなのか」を判別してラベリングしていきます。ラベリングすることで、コメントの内容をカテゴリー分けし、具体的な意見の傾向などを瞬時に把握することが可能です。その結果、マーケティング担当者は従来のように主観をもとにした意思決定ではなく、客観的情報をもとに意思決定ができるようになります。 主観が入ってしまうと、どうしても担当者ごとに意見の相違が出てしまい、一貫した方向性でマーケティング施策やプロモーション施策を進めるのが難しくなってしまいます。しかし、AIが客観的な情報を定量的に可視化することで、全員が同じ方向を向き、中長期で一貫したマーケティング施策やプロモーション施策を実施できるようになるはずです。 今後は精度を向上させ、お客様に伴走して分析を支援 ──具体的にどのようなユースケースがあるのでしょうか? 西方:主なユースケースとしては、アニメの話題分析やゲームの新作タイトルのリリース、お菓子の新商品、イベントの反響、動画配信のコメント分析、炎上検知などを想定しています。例として、アニメの話題分析について少し詳細に説明します。 これまで、アニメの作品としての良し悪しは何を持って判断するか曖昧でした。SNSアカウントのフォロワー数が多いのか、作品に対するSNSでの投稿数が多いのか。その量を分析することはできていましたが、その中身までは見れていませんでした。 結果的に担当者が主観でアタリかハズレかを判断するしかなく、再現度高くヒットを生み出し続けていくことができていなかったんです。 しかし、AIによって“意味のある発言”をしているユーザーを絞り込み、その人たちの投稿の継続率を見ていくことで、最後まで視聴された割合はどれくらいかがわかります。それを作品の良し悪しの指標にすることができるのではないかと考えています。 ひとつの作品に対して定量的なデータを集めて分析することで、ヒット作を再現度高く生み出せるようになりますし、逆に上手くいかなかったものは原因を分析して改善につなげることが可能です。ゲーム業界ではそうしたプロセスは一般的ですが、アニメ業界はまだまだ属人的な部分が多く残っています。そこに弊社が提供するサービスを取り入れることで、客観的なデータをもとにした作品の分析ができるようになります。 例えば、作品自体に原作があるものは内容を変更できませんが、どういった部分を訴求するのか、どのようなターゲット層に対してメッセージを伝えるのか。訴求内容をターゲットごとに変えていくこともできるようになるでしょう。 ──今後のロードマップを教えてください。 西方:まずは分析精度の向上に努めていきます。 また、時系列で分かりやすく、どんな話題がどれくらいあったのかを見れるようにしたり、どんなカテゴリーでポジティブな声、ネガティブな声があったのかを見れるようにしたり、プリセット的な分析レポートを提供します。その後、さらに情報を深掘りしたいニーズも生まれてくると思うので、今まで分析で培ってきた知見をもとに、お客様ごとのニーズにあった深い分析のメニューも用意していきたいと思います。 それにより、新しい指標の発見などもできるようになると思うので、お客様に伴走しつつ数字を見ながら一緒にマーケティング施策やプロモーション施策を考えていきたいです。 -
インタビュー
【ゲーム】日本のゲーム会社の最新動向
日本のゲーム業界は2兆円を超える市場に成長したが、2020年をピークにここ数年は右肩下がりとなっている。 そこで今回は日本のゲーム市場、ゲーム会社の最近の動向について、経営コンサルタントの美田和成さんにインタビューしました。 ―:まず基本的なことを伺いたいのですが、お仕事について教えていただけますか? 美田氏:ゲーム会社やデータ分析会社の経営に関わる傍ら、A.T.カーニーというコンサルティング会社でメディア・エンタテインメント領域のコンサルタントもしており、ゲームを含めたエンタメ企業の成長戦略策定や組織作りのお手伝いをしております。 仕事柄、守秘義務がありますので、お話しできることは限られているのですが、本日はどうぞ宜しくお願いいたします。 ―:よろしくお願いします。まずは日本のゲーム業界の現状について教えていただけますでしょうか? 美田氏:よろしくお願いします。現状を知る上でもまずはここ10数年の業界の流れを振り返りつつお話できればと思います。 2010年くらいからモバイルゲーム(ソーシャルゲーム)市場が急速に盛り上がりましたが、それまで5000億円程度だった日本のゲーム市場がモバイルゲーム市場の誕生・成長で2兆円まで伸びました。2010年代のゲーム業界はモバイルゲームの時代だったとも言えると思います。ちなみに欧米はモバイルゲーム比率が3割程度ですがアジアは5割を超えており、日本に至っては7割を超えてますのでモバイル市場の拡大はかなりのインパクトがあったことになります。 ―:日本のゲーム市場規模の急拡大はモバイル市場の成長によるものなのですね。 美田氏:モバイルゲームをきっかけに生まれた会社は相当数あり、ピーク時では少なく見積もっても500社はあったと思います。その代表格がディー・エヌ・エーやGREE、Mixiに代表されるプラットフォーマーや、サイゲームスやアカツキなどです。 また、それまでコンソールゲーム中心の事業を行っていた大手ゲーム会社も、モバイルゲームの売上や利益率を目の当たりにしモバイルゲームに参入することになりますが、 モバイルとコンソールでは運用を中心として作り方が全然異なります。モバイルゲームに馴染むまでに時間のかかった会社もあれば比較的スムーズに参入できた会社もありまちまちでした。 ―:たくさんの会社が生まれ、勢いのあった時期ですね。 美田氏:そうですね。2016年くらいまではかなり勢いがありました。しかし徐々にタイトル数が増えたことでユーザーの時間の奪い合いが激化するとともに、スマホの機能向上に伴いゲームの品質も向上する必要があり開発費が高騰していきました。 2010年頃であれば数千万だった開発費が、2018年頃には10~20億円規模にまで膨らみました。さらに2018年前後で海外(主に中華・韓国系)の大型グローバル配信タイトルが入ってきて徐々に日本タイトルのシェアがどんどん奪われることになりますが、外資系タイトルの開発費が3桁億円という事実に国内のゲーム会社は驚くとともに戦意喪失していった時期だったかと思います。 ―:それほどまでにこの10~15年で開発費が膨らんでいったのですね。 美田氏:開発費が膨らむとともに、ヒット率も低下していきました。 成功に向けた初期的なハードルが月商1億円と言われますが、月商1億円を超えるタイトルの出現率が1%を切るなど、モバイル市場はハイリスク・ハイリターンに向かっていきましたね。またそのころになると、プロモーションコストも開発費と同額程度かける必要性もあったことから、既にユーザーを抱える既存IPを用いたタイトル開発に各社傾斜していく形になります。 新規IPは既存IPに比べヒット率が低く、プロモ―ションコストも多くかかるわけですので、合理的な判断ですよね。 現状、モバイルで新規IPに取り組む会社は、大手の一部と、モバイル系ですとサイゲームスさん、アカツキさんなどかなり限られてると思います。 2010年度に一気に誕生したモバイルゲーム会社ですが、このような背景もあり現状では一部の成功タイトルを持つ企業以外は撤退や倒産でかなり減ってしまっております。 ―:モバイルゲームは当初、オリジナルタイトルの方が多かったかと思いますが、そこからIPに成長したものはなかったのでしょうか? 美田氏:どこまでをIPと呼ぶかは難しいところですが、IP化の定義を、ゲーム発で長期に運用を継続し、かつアニメやグッズなどのマルチ展開でユーザーとの接点を拡大し、ユーザーを増やしている、とするのであれば、モバイルゲームからはほとんどIPは生まれていない、と思います。 ―:なぜIPは生まれなかったのでしょうか? 美田氏:IPとして成長するコンテンツ制作には、「斬新なコンセプト」や「キャラクター/ストーリー」、「高品質なクリエイティブ」、「継続的なマルチメディア展開」、など様々な要素が必要となりますが、特に初期のモバイルゲームはWEBサービスに近いコンテンツで、これらの要素を意識した開発になっていなかったことは一つとしてあるかと思います。 また、売上が下がると運用を終了してコンテンツとして終わり、というケースが多く、そもそも継続して取り組みIP化していくという意識はあまりなかったように思いますね。それよりも新しいもの出した方が売れるかもしれないのでどんどん出そうという空気感だったかと。 今誰もが知るIPは10年、20年、30年と続けてIPになっているわけで、初期開発で発展性のあるものを作ることに加え、継続することもIP化においては大事な要素ですよね。 ―:そう考えると新規IP創出は難しい取り組みですね。既存IPを活用したゲームへの取り組みはどのような状況でしょうか。 美田氏:ゲーム業界全体として、モバイルゲームに限らずコンソールも含め既存IPでヒットするゲームをしっかりとつくるというトレンドになってきております。 既存IPをコンソール、モバイル、PCの複数デバイスで展開するとともに、映像やグッズ、リアル接点(テーマパークや2.5次元など)を拡大し、既存IPの価値を最大化する動きですね。モバイルゲーム時代の経験や昨今のゲーム発IPの映像化の成功などの事例を踏まえ、継続的に利益を生み出すのは既存IPという気付きが業界全体的にあったように思います。 ―:既存IPのヒット率はいかがでしょうか。 美田氏:大手はやはりコンソールの開発力に安定感があり、コンソールは比較的安定的にヒットを出せているように思います。 一方でモバイルは先程のハイリスク・ハイリターンという性質が強くも、大手でもヒット率は決して高いとは言えないですね。もちろん当たれば大きいですが。 IPの特性やデバイス特性を鑑み、コンソール、モバイル、PC、どのデバイスで取り組むのかを検討していくという方向性かと思います。 新規IPの場合でもそうですが、収益的に安定性のある(大損しない)コンソールで出してみてその動向からモバイルゲームを出すか検討する、という方針の会社も多いですね。 ―:なるほど。大きな流れとして既存IPを活用した事業展開に向かっているということですね。 美田氏:ここは難しいところでして、とはいえ新規IPもトライしないと将来のIPは生まれないためバランスが重要ですよね。まずは既存IPの価値を最大化し、その収益で新規IPにも一定チャレンジする、ということかと思います。 ―:IPのマルチメディア展開という話がありました。ゲーム会社の場合、マルチ展開はあまり馴染みがない領域かと思いますがそのあたりの取り組み状況はいかがでしょうか? 美田氏:例えばカプコンさんは10年以上前からIPのマルチ展開を事業方針として謳っておりますし、バンダイナムコさんは昔からマルチ展開できる各機能を広く保有されていたりします。一つ言えることとしては個社毎に保有機能の幅は異なりますが、自社IPをゲーム以外の領域でも展開することを前提に事業戦略を考え始めているということかと思います。 また既存IPのゲーム化の方がビジネスとして安定しているため、多くのゲーム会社は自社IPのみならず他社IP(主に出版社系IP)を用いた開発に取り組むケースは増えてきております。 IPホルダーもこの辺りのIPのビジネス流れは強く意識されており、IPを預ける際に、ライセンシーの個々の機能(ゲーム、アニメ等)が強いことはもちろんですが、マルチ展開ができること、またそれを描けるIPプロデューサー人材がいる事もライセンシーを判断する基準となってきてます。 ―:なるほど。自社IPだけでなく他社IPを用いたゲーム化も活発になってきていると。 美田氏:はい。とくに有力IPを獲得する上での競争が激しくなっており、前述のゲーム開発のみならずマルチ展開可能な機能やIPプロデューサーの重要性は増してきております。 他社IPの獲得によるビジネスではゲーム会社にとっての新たな競合も現れてきております。アニプレックスさんや東宝さんなどは強いアニメスタジオのブッキング力を強みとして制作委員会の中でも発言力を増しており、ゲームも含めたIP獲得に成功しております。リリースしたゲームもヒットを収めるなど成功事例も増えてきております。 一方で、IPホルダーもライセンシー機能を持ち始めており、自社でゲーム事業(パブリッシング、開発)やアニメ制作機能を持つ会社も増えており、その意味でもIP獲得の難易度は上がってきております。 ―:IP獲得は新規のプレイヤーの参入含め競争が激化しているということですね。 美田氏:そうですね。そのような背景もありゲーム会社は並行してゲーム発の新規IPにも取り組まなければいけない、という課題もあるかと思います。 ―:このような事業の変化に伴い、各社の組織体制の変化はございますでしょうか? 美田氏:モバイル興隆期とその後で大きく変わったと思います。 モバイル興隆期はモバイルゲームの利益率の高さ、開発・運用方法の違いからモバイルゲーム事業を従来のコンソール事業から切り出すケースが多く、大半のゲーム会社はデバイス軸(モバイル、コンソール、PC毎に事業を立てる)の組織体制でした。 一方で現在はモバイル市場が落ち着き、またデバイス間で開発の垣根が無くなったことや、前述の既存IPのマルチ展開や他社IP獲得の観点でIP軸、もしくはIPプロデューサーがデバイス別の事業部をマネジメントする体制に代わってきております。 ―:なるほど。IP戦略を実行しやすい組織体制に代わってきているのですね。 […] -
インタビュー
【eスポーツ】日本のeスポーツ市場の現状課題と将来性
昨今、世界的にeスポーツの人気は高まっており市場も急成長する中、様々な業種の企業も参入を始めました。 そこで今回はeスポーツ市場の現状と今後の可能性について、経営コンサルタントの美田和成さんにインタビューしました ―:まず基本的なことを伺いたいのですが、お仕事について教えていただけますか? 美田氏:ゲーム会社やデータ分析会社の経営に関わる傍ら、A.T.カーニーというコンサルティング会社でメディア・エンタテインメント領域のコンサルタントもしており、ゲームを含めたエンタメ企業の市場調査や事業戦略策定、組織作りのお手伝いをしております。仕事柄、守秘義務がありますので、お話しできることは限られているのですが、本日はどうぞ宜しくお願いいたします。 ―:よろしくお願いします。まずは日本における昨今eスポーツ市場が日本でも盛り上がりを見せてきました。日本のeスポーツ市場の規模はどのくらいなのでしょうか。 美田:年々注目度が高まっているeスポーツ市場ですが、コロナ渦においてもオンラインでプレイ・配信ができる強みを活かして成長を遂げてきました。日本のeスポーツ市場は2025年までに210億円を超えるとも予測されています。 出典:日本eスポーツ白書2023 eスポーツ元年と呼ばれた2018年から日本では年々高い成長率を見せており2023年現在では推定162億円を突破しております。当初は130億円突破を想定されていたので、想定以上の成長を遂げていることがわかります。 ―:グローバル全体でのeスポーツ市場規模はどのくらいなのでしょうか。 美田氏:グローバルのeスポーツ市場を見ると2023年は17.2億米ドル、2023年には67.5億米ドルまで成長すると予測されており、年平均成長率は21.5%になります。日本と比べると規模ではかなりの差がありますね。 ―:どのような企業がeスポーツ市場に参入しているのでしょうか。 美田氏:すぐに思いつくようなゲーム領域の企業以外にも様々な企業が参入しています。ゲームを支える回線関連、デバイス、大会運営会社はもちろんのこと、飲料・食品会社もゲーマーを支える企業の1つとしてeスポーツ市場では主流になってきました。その他にもチームのブランド力を上げるアパレル会社など新たなビジネスチャンスを生み出す可能性を求めて多くの企業が積極的に参入しています。 ―:eスポーツ市場の客層はどの年代が多いのでしょうか。 美田氏:客層は約50%が35歳以下の男性と言われています。また、eスポーツに日常的に触れているユーザーのうち約74%が正規雇用者で約44%が高所得者になっています。そのため、スポーツやファストフード、自動車など若年男性をターゲットにした企業も多く参入しています。 ―:なるほど。日本のeスポーツ市場の収益構成はどのようになっているのでしょうか。 出典:日本eスポーツ白書2023 美田氏:eスポーツ市場で最も大きな収益を生んでいるのがスポンサー料ですね。そして近年では日本でもイベント運営に実力のある事業者が揃ってきており、イベント運営においても収益を生み出しています。これによりB to Bの事業領域の成長も今後期待されています。 ―:これらの収益はどのように生まれているのでしょうか。 出典:日本のeスポーツの発展に向けて~更なる市場成長、社会的意義の観点から~ 美田氏:eスポーツの資金の流れは「エコシステム領域」と「波及領域」の2つに分けられます。その中でエコシステム領域は「する」、「見る」、「支える」(スポーツ庁の分類)からなります。 具体的にお話しますと、1つ目の「する」はチーム・選手といったeスポーツ競技の主体が行う領域で、主にスポンサー・広告、チケット、グッズ、賞金、投げ銭収入が対象となります。 2つ目の「見る」ですが、これはオーディエンス、コアファン層にとっての領域。主にストリーマーやLANパーティ主催者の広告、参加費収入が対象となります。 最後の3つ目の「支える」は、「する」、「見る」を支えるオペレーターの領域で大会・イベントの主催者、パブリッシャー、大会施設/練習場、デバイス関連メーカーが行うスポンサー・広告、放映権、著作権許諾、施設利用料、機器販売収入などが対象となります。 ―:なるほど。それでは次に「波及領域」について教えていただけますでしょうか。 美田:波及領域とは主にイベントの集客力を活用したビジネスになります。今ではイベント会場での飲食物の販売やデバイスの販売などは主流になっていますよね。 ―:今挙げていただいた領域以外でもeスポーツビジネスの可能性はありますでしょうか。 美田:波及領域のさらに外側にある移転領域というものがあります。これはeスポーツを通じて蓄積された技術を移転したビジネスのことを指します。金融・保険事業へのeスポーツの活用や観光業への振興、引きこもり人材の活用などが行われています。 ―:なるほど。企業がeスポーツ市場に参入する意義・魅力はいろいろとあるのですね。 美田氏:そうですね。企業にとってeスポーツ市場に参入する魅力はいくつか挙げられれますが、以下のような要素に魅力に感じて参入する企業が多いように思います。 海外においては、eスポーツは従来のサッカーや野球といったスポーツと比べて遜色のない集客力を誇っています。大会やイベントには数万人以上のファンが足を運び、大きな大会の配信には同時視聴者数が数千万レベルに達することさえあります。 ―:なるほど。海外に比べ日本はeスポーツ後進国と言われますが、その大きな要因は何なのでしょうか。 美田氏:主な要因を上げるとすれば「根付いているゲーム文化の違い」と「日本の法規制」になるかと思います。 ―:根付いているゲーム文化の違いとはどのようなものになりますでしょうか? 美田氏:人気のあるゲームの「デバイス」と「ジャンル」の違いですね。 まず「デバイス」については、グローバルのeスポーツで主に扱われているゲームはPCゲームです。一方で、日本でこれまで人気を博してきたのはモバイルゲーム、及びプレイステーションやDS、Switchといったコンシューマーゲームで、特に日本はモバイルゲームの比率は非常に高いシェアを占めており、PCゲームが普及していない要因の1つとなっています。日本ではモバイルの普及とともに通勤等の隙間時間を活用してモバイルゲームが幅広い層に普及しましたが、日本のゲーム市場の約2兆円の内、約80% がモバイル市場です。これはすごい数字でアジアでも50%止まりで、欧米だとモバイルは30%程度です。 ―:確かにeスポーツ強豪国の韓国では、インターネット黎明期の25年以上前からネットカフェで格安にPCでゲームに触れる環境が豊富にありゲーム環境を含めた文化の違いは大きいかもしれません。 「ジャンル」の違いというのはどのような違いになりますでしょうか? 美田氏:ゲームのジャンルの違いですね。eスポーツで最もプレイヤー人口が多いといわれているのがLeague of LegendsというMOBA系のゲームです。eスポーツで最も賞金総額が高いといわれているDota 2もMOBA系のゲームですね。しかし、これらのゲームは日本ではまだ知名度が低く、人気もそれほど高くありません。時折人気ストリーマーの方が配信を行っているのを目にしますが、他のゲームを配信している時よりも視聴者数が少ないです。 ―:そうだったのですね。eスポーツといえばFPSというイメージも強いのですが、日本でFPS人気はどうなのでしょうか。 美田氏:FPSはMOBAに次いで世界でも人気の高いeスポーツジャンルですね。日本ではMOBA人気が低い代わりに、FPS人気が高い傾向にありApex、Valorantのリリースに伴って伸びております。2023年には日本のコミュニティの素晴らしさが世界的にも評価されValorantの世界大会が日本で開催されていました。世界大会でも好成績を日本チームが残す姿も見られるようになってきたので、日本ではMOBAよりもFPSを中心に市場が伸びていく可能性があると考えています。 ―: ありがとうございます。では日本の法規制はどのような影響を与えていたのでしょうか。 美田氏:日本には「賭博規制法」と「景品表示法」という法律が存在します。これにより日本での大会では海外の大会のような高額な賞金設定ができないようになっていました。海外ではゲームユーザーからの売り上げを賞金に充てるといったことも行われてきましたが、日本では法に触れる可能性があるためできなかったわけですね。 賞金が低いと強いプロ選手の育成が難しくなります。賞金の低さによりプロゲーマーがゲーム一筋で生計を立てることが難しく、ゲームの技術を十分に磨く環境が整えることができないということが起こるわけですね。 […]
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カスタムAIツールが「ELDEN RING Shadow of the Erdtree」をレビュー
こんにちは、ゲームサーファーの皆さん! この記事は、将来的に多くのコンテンツの第一弾になる可能性があります。最後まで読んで、このサイトの未来にどう影響を与えられるかを確認してください! まず、弊社が達成しようとしていることについて少し背景を説明します。カスタムビルドのAIレビューアナライザーを使用して、「ELDEN RING Shadow of the Erdtree」のレビューをインポートしました。これらのレビューをデータベースにインポートした後、AIに質問をすることで、世界規模で人々がゲームについてどう思ったかを理解することができます。以下は弊社がリストアップした質問の一部ですが、読者の皆さんがさらに質問したいことがあれば、遠慮なく以下のメールアドレスまでご連絡ください:(taylor.m@mugen-creations.com)メールを送る時にAiツールに関してを件名に入れて頂くとより目立つと思います^^。 それでは、弊社が尋ねた質問とその答えを紹介します。 このツールは完璧ではないことに留意してください。返信は青色が完璧、赤色が少し間違っている(よくある幻覚問題によるもの)と色分けされていますが、ご覧のとおり、弊社が尋ねた質問に対する返信の大部分は正確しています。質問:How did the critics feel about the difficulty. 10 examples.批評家は難易度についてどう感じましたか。10の例。”シャドウの領域に隠された戦いは、これまでで最も奇抜で、グロテスクで、激しいボス戦の一部です。” – But Why Tho?”タイミングを正確に合わせて、何度も忍耐強く戦った結果、勝利を収めました。” – But Why Tho?”ボスは手加減しません。” – カロル・カンテーヌ”シャドウ・レルムの敵はより強力で、より高いスキルと装備を要求します。” – Checkpoint Gaming”最も標準的な剣でも、300時間プレイした後も、初めて使った時と同じくらい楽しむことができます。” – Gamer.nl”最初のボスでさえ、ベースゲームのほとんどのボスよりも難しく、そこからさらに難しくなります。” – GGRecon”最終ボスは、肉厚な挑戦から過度のフラストレーションにまで踏み込むほどに途方もなく強力です。” – GamesRadar+”ほとんどのボスは非常に多くのダメージを与え、非常に速く、大きく、魔法と物理攻撃を組み合わせたパターンであなたの命を苦しめます。” – IGN Benelux”ミディールよりも難しいドラゴンがいて、マレニアをゴドリックの兵士のように見せる最終ボスがいます。” – TheGamer What features were most appreciated in the […] -
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【eスポーツ】日本のeスポーツ市場の現状課題と将来性
昨今、世界的にeスポーツの人気は高まっており市場も急成長する中、様々な業種の企業も参入を始めました。 そこで今回はeスポーツ市場の現状と今後の可能性について、経営コンサルタントの美田和成さんにインタビューしました ―:まず基本的なことを伺いたいのですが、お仕事について教えていただけますか? 美田氏:ゲーム会社やデータ分析会社の経営に関わる傍ら、A.T.カーニーというコンサルティング会社でメディア・エンタテインメント領域のコンサルタントもしており、ゲームを含めたエンタメ企業の市場調査や事業戦略策定、組織作りのお手伝いをしております。仕事柄、守秘義務がありますので、お話しできることは限られているのですが、本日はどうぞ宜しくお願いいたします。 ―:よろしくお願いします。まずは日本における昨今eスポーツ市場が日本でも盛り上がりを見せてきました。日本のeスポーツ市場の規模はどのくらいなのでしょうか。 美田:年々注目度が高まっているeスポーツ市場ですが、コロナ渦においてもオンラインでプレイ・配信ができる強みを活かして成長を遂げてきました。日本のeスポーツ市場は2025年までに210億円を超えるとも予測されています。 出典:日本eスポーツ白書2023 eスポーツ元年と呼ばれた2018年から日本では年々高い成長率を見せており2023年現在では推定162億円を突破しております。当初は130億円突破を想定されていたので、想定以上の成長を遂げていることがわかります。 ―:グローバル全体でのeスポーツ市場規模はどのくらいなのでしょうか。 美田氏:グローバルのeスポーツ市場を見ると2023年は17.2億米ドル、2023年には67.5億米ドルまで成長すると予測されており、年平均成長率は21.5%になります。日本と比べると規模ではかなりの差がありますね。 ―:どのような企業がeスポーツ市場に参入しているのでしょうか。 美田氏:すぐに思いつくようなゲーム領域の企業以外にも様々な企業が参入しています。ゲームを支える回線関連、デバイス、大会運営会社はもちろんのこと、飲料・食品会社もゲーマーを支える企業の1つとしてeスポーツ市場では主流になってきました。その他にもチームのブランド力を上げるアパレル会社など新たなビジネスチャンスを生み出す可能性を求めて多くの企業が積極的に参入しています。 ―:eスポーツ市場の客層はどの年代が多いのでしょうか。 美田氏:客層は約50%が35歳以下の男性と言われています。また、eスポーツに日常的に触れているユーザーのうち約74%が正規雇用者で約44%が高所得者になっています。そのため、スポーツやファストフード、自動車など若年男性をターゲットにした企業も多く参入しています。 ―:なるほど。日本のeスポーツ市場の収益構成はどのようになっているのでしょうか。 出典:日本eスポーツ白書2023 美田氏:eスポーツ市場で最も大きな収益を生んでいるのがスポンサー料ですね。そして近年では日本でもイベント運営に実力のある事業者が揃ってきており、イベント運営においても収益を生み出しています。これによりB to Bの事業領域の成長も今後期待されています。 ―:これらの収益はどのように生まれているのでしょうか。 出典:日本のeスポーツの発展に向けて~更なる市場成長、社会的意義の観点から~ 美田氏:eスポーツの資金の流れは「エコシステム領域」と「波及領域」の2つに分けられます。その中でエコシステム領域は「する」、「見る」、「支える」(スポーツ庁の分類)からなります。 具体的にお話しますと、1つ目の「する」はチーム・選手といったeスポーツ競技の主体が行う領域で、主にスポンサー・広告、チケット、グッズ、賞金、投げ銭収入が対象となります。 2つ目の「見る」ですが、これはオーディエンス、コアファン層にとっての領域。主にストリーマーやLANパーティ主催者の広告、参加費収入が対象となります。 最後の3つ目の「支える」は、「する」、「見る」を支えるオペレーターの領域で大会・イベントの主催者、パブリッシャー、大会施設/練習場、デバイス関連メーカーが行うスポンサー・広告、放映権、著作権許諾、施設利用料、機器販売収入などが対象となります。 ―:なるほど。それでは次に「波及領域」について教えていただけますでしょうか。 美田:波及領域とは主にイベントの集客力を活用したビジネスになります。今ではイベント会場での飲食物の販売やデバイスの販売などは主流になっていますよね。 ―:今挙げていただいた領域以外でもeスポーツビジネスの可能性はありますでしょうか。 美田:波及領域のさらに外側にある移転領域というものがあります。これはeスポーツを通じて蓄積された技術を移転したビジネスのことを指します。金融・保険事業へのeスポーツの活用や観光業への振興、引きこもり人材の活用などが行われています。 ―:なるほど。企業がeスポーツ市場に参入する意義・魅力はいろいろとあるのですね。 美田氏:そうですね。企業にとってeスポーツ市場に参入する魅力はいくつか挙げられれますが、以下のような要素に魅力に感じて参入する企業が多いように思います。 海外においては、eスポーツは従来のサッカーや野球といったスポーツと比べて遜色のない集客力を誇っています。大会やイベントには数万人以上のファンが足を運び、大きな大会の配信には同時視聴者数が数千万レベルに達することさえあります。 ―:なるほど。海外に比べ日本はeスポーツ後進国と言われますが、その大きな要因は何なのでしょうか。 美田氏:主な要因を上げるとすれば「根付いているゲーム文化の違い」と「日本の法規制」になるかと思います。 ―:根付いているゲーム文化の違いとはどのようなものになりますでしょうか? 美田氏:人気のあるゲームの「デバイス」と「ジャンル」の違いですね。 まず「デバイス」については、グローバルのeスポーツで主に扱われているゲームはPCゲームです。一方で、日本でこれまで人気を博してきたのはモバイルゲーム、及びプレイステーションやDS、Switchといったコンシューマーゲームで、特に日本はモバイルゲームの比率は非常に高いシェアを占めており、PCゲームが普及していない要因の1つとなっています。日本ではモバイルの普及とともに通勤等の隙間時間を活用してモバイルゲームが幅広い層に普及しましたが、日本のゲーム市場の約2兆円の内、約80% がモバイル市場です。これはすごい数字でアジアでも50%止まりで、欧米だとモバイルは30%程度です。 ―:確かにeスポーツ強豪国の韓国では、インターネット黎明期の25年以上前からネットカフェで格安にPCでゲームに触れる環境が豊富にありゲーム環境を含めた文化の違いは大きいかもしれません。 「ジャンル」の違いというのはどのような違いになりますでしょうか? 美田氏:ゲームのジャンルの違いですね。eスポーツで最もプレイヤー人口が多いといわれているのがLeague of LegendsというMOBA系のゲームです。eスポーツで最も賞金総額が高いといわれているDota 2もMOBA系のゲームですね。しかし、これらのゲームは日本ではまだ知名度が低く、人気もそれほど高くありません。時折人気ストリーマーの方が配信を行っているのを目にしますが、他のゲームを配信している時よりも視聴者数が少ないです。 ―:そうだったのですね。eスポーツといえばFPSというイメージも強いのですが、日本でFPS人気はどうなのでしょうか。 美田氏:FPSはMOBAに次いで世界でも人気の高いeスポーツジャンルですね。日本ではMOBA人気が低い代わりに、FPS人気が高い傾向にありApex、Valorantのリリースに伴って伸びております。2023年には日本のコミュニティの素晴らしさが世界的にも評価されValorantの世界大会が日本で開催されていました。世界大会でも好成績を日本チームが残す姿も見られるようになってきたので、日本ではMOBAよりもFPSを中心に市場が伸びていく可能性があると考えています。 ―: ありがとうございます。では日本の法規制はどのような影響を与えていたのでしょうか。 美田氏:日本には「賭博規制法」と「景品表示法」という法律が存在します。これにより日本での大会では海外の大会のような高額な賞金設定ができないようになっていました。海外ではゲームユーザーからの売り上げを賞金に充てるといったことも行われてきましたが、日本では法に触れる可能性があるためできなかったわけですね。 賞金が低いと強いプロ選手の育成が難しくなります。賞金の低さによりプロゲーマーがゲーム一筋で生計を立てることが難しく、ゲームの技術を十分に磨く環境が整えることができないということが起こるわけですね。 […]